松山第一日目、新千歳空港から伊丹空港を経由して松山空港に降り立つ。松山は、高校時代の友人の結婚式以来だから12年ぶりだろうか…。その結婚式の前に、出来たばかりの記念館を見学しようと計画を練っていたのだが、降り立った松山空港で同じく式に参加予定の友人にばったり出くわし、そのまま絡めとられ昼間っから2人で酒を飲んでしまったのである。という訳で、実に12年越しの念願叶っての今回の訪問。なにかの間違いがあっては大変と、取るものも取らず空港から真っすぐ記念館へと向かったのであった。
空港からリムジンバスで松山市内へ。松山市駅でバスを乗り換えて天山橋へ。バスの車内から左手に焼杉の外壁と水平な庇が見え、否が応でも期待に胸が高まる。小さな橋を渡ると、記念館と正対する。低く抑えられた外観と、それを強調する水平な庇、スロープで下がりながらのアプローチと、徹底して高さを抑える工夫がしてありボリュームの割りに可愛らしい印象の外観が出迎えてくれる。
記念館内部は、中庭を中心に展示室・カフェ・収蔵庫等がぐるりと配置されたこれ以上ないとてもシンプルな構成です。明快な平面構成故に、伊丹十三さんの魅力と、その魅力を余すところなく表現した中村さんの意図がダイレクトに伝わってきます。
魅力その1 遊び心が溢れまくった展示空間
受付を通って常設展示室に足を踏み入れると、まず十三さんが出迎えてくれます。
常設展は、十三の名にちなんで13のエリアに分かれ、伊丹十三さんの経歴を紹介しています。①の池内岳彦から⑬の映画監督まで。特筆すべきはその展示方法の多彩さと、遊び心。楽しみながらつくったのがひしひしと伝わってきます。
魅力その2 最高に居心地の良い中庭
展示室を抜けると、中庭を通ってカフェに行ったりエントランスに戻ったり出来ます。この中庭が最高に居心地が良いです。低く抑えた軒下空間とベンチ、中央の芝生。中心からかなりずらして桂の木が植えられています。訪れたのは2月の夕刻前でしたが、いろいろな季節・時間に訪れてみたいと思わせるそんな素敵な空間でした。
魅力その3 カフェで岳ちゃんに献杯!
そして3つ目の魅力は、中庭を望むカフェである。ジャズが流れるカフェで、日頃のあれやこれやを全て忘れて、ビールを飲みながら読みかけのエッセイなどを黙々と読む。目を上げると素敵な中庭と桂の木。そしてなによりも、ビールにつくおつまみの柿の種がお代わり自由という気前の良さ。美術館・記念館のカフェは数あれど、このようなサービスをしているところは無いのでは??岳ちゃん(伊丹十三)が中庭の木にもたれてニヤリと笑みを浮かべているようです。
そして、ビールを飲んでまったりしていると店員さんに、みなさまの声を書いてくださいとスカウトされました。よほど暇そ…熱心なファンだと見受けられたのでしょう!宮本信子さんも楽しみに見ているとのことでしたので、張り切って書かせて頂きました。伊丹十三記念館のページに掲載されています。是非お立ち寄りください。